筑波山(第18回): 夏の低山三大北壁
普通「三大北壁」といえばヨーロッパアルプスの名峰、アイガー、グランドジョラス、マッターホルンの北壁を指す。一方、「北壁」という言葉が比喩的に使われることもある。角幡雄介さんが著書「探検家日々本本」に書かれた「就職、結婚、子育ては山ヤの人生三大北壁」という文が良い例で、この北壁は「登山を続けるうえで障害となる人生の節目」を意味する。
実は私にも三大北壁があるのだ。それをどうやって克服するか真剣に悩み、考えながら歩いた筑波山の記録。
2019年8月17日(土)
山に登り始めた冬の頃は気づいていなかったけど、暑くなるにつれて脅威を感じるようになったものがある。
・紫外線
・湿気
・ヘビ
これが私の、夏の低山における三大北壁だ。特にヘビがいけない。子供の頃は図鑑に載っている絵すら触れなかったし、これを言うと人に笑われるけど、ホースもダメ。で、この日は朝6時過ぎに迎場コースをスタートしてしばらく歩くと、私の右後ろ辺りでヘビがにょろん!と跳ね上がったのが見えてしまった。
出たー!
全身が緊張で凍りつき、心臓は波打つ。登り坂なのにこんなに早く歩けるんだと驚くくらい速足で逃げたが、ただでさえ人があまり通らない迎場コースの早朝。ジメジメしていて、どこにヘビが居てもおかしくない。そう思うと一刻も早くこの人の居ない迎場コースから抜け出したく、道の端ではなく真ん中を歩き(階段辛いけど我慢)、なるべく自分の足先以外見ないようにしてつつじが丘に急いだ。
ヘビなんて何もしないじゃない、と人は言う。確かにそうだ。だがあの形や模様、質感という視覚的な情報が心に与えるダメージは大きい。できれば会いたくない。願わくば会いたくない。会ってしまったら恐怖を感じる。このところ歩き始める前に必ず筑波山神社で「ヘビに会いませんように」とお祈りしていたのだが、会ってしまった。お賽銭が足りなかったのだろうか・・・。
そうは言っても、どうにかしてこのヘビ嫌いを克服したいと私も思っているのだ。ヘビが居るからと言って夏山に来ない選択肢はないし、来るからには克服できた方が楽しいに決まってる。どうやったらヘビが怖くなくなるだろう。ヘビより怖いものって何だろう。。。考えても見つからない。
そこで、克服できなくてもいいからヘビを見た時、ポジティブな感情が起こる何かと結び付けようと考えた。思えばヘビに何の実害を与えられたわけもないのに、その後の私は恐怖に支配され、せっかくの山登りが台無しになっている。見た瞬間にきゃっ、と思うのは仕方ないとして、冷静に考えるとその後は「また出るかも、その辺にも居るかも」という自分の想像に怯えているだけだ。見た瞬間、無理矢理にでもポジティブな感情に持っていけばこの負のスパイラルを断ち切ることが出来るかもしれない。ここまで考えたところで名案が閃いた!
マイルールの制定。
ヘビが出たら帰りにローソンで
フローズンパーティー を買って良い
(注:本日より、ヘビ1匹につき1個)
これでヘビが居てもその姿はすぐフローズンパーティー(マンゴー)に変換され、なんなら脳内にマリオがきのこをゲットした時の音さえ鳴るだろう。
紫外線、湿気、ヘビ(=snakeで頭文字全部Sだ!)のうち、紫外線は良い日焼け止めとサングラスでどうにかなることがわかった。そもそも低い山は樹木に覆われた道が多いから、紫外線はあまり怖れることはない。
湿気がもたらす弊害は、汗と地面の濡れだろう。汗は機能的なドライレイヤーを着ることで不快感を減らし、濡れた登山道ではトレッキングポールを使って危険を減らすことが出来る。
三大北壁すべてを克服できるかどうかは、ヘビにかかっている。
なお、ヘビ嫌いを克服するために「飼ったらいいんだよ」とアドバイスくれた方があったが、非現実的かつアレルギーを発症する恐れがあるので丁寧にお断りした。
*この日撮った写真・・・本文と全く関係ありません*
イワタバコの花。
石の上に、足の長ーいクモ。
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