奥久慈男体山：恐怖の誕生日プレゼント
私の誕生日の前夜。明日は山頂でお祝いしようと夫が言いだし、行き先を物色し始めました。普段、行き当たりばったりな夫にしては計画的です。私は調べたりするのが面倒なので行先は任せ、支度だけして休みました。思えばこの他人任せな態度が悲劇の始まりでした・・・。
５月３日（祝）
普通に起きて出発。奥久慈男体山へ行くそうで、常磐自動車道を北へ進みます。１時間くらいで着くのかと思ったらゴールデンウィークの渋滞に巻き込まれ、歩き始めたのはもう１１時過ぎでした。
かんかん照りで暑く、山に来たというのにちっとも嬉しくない私。仕方なく夫に着いて行ってる状態で、全くやる気なし。今さら言っても仕方ないけど、こんな遠くに来るならもっと早く出ないとだめだったんだよ。暑い暑い暑い！もう帰りたい･･･私は口数も少なく、不機嫌になっていきました。
冬に山登りを始めた私にとって、今日が初めての夏っぽい山。何も知らなかった頃、夏山というと楽しく爽やかなイメージしかなかったけど、実際どうなんでしょう。暑さと湿気、紫外線、虫さされ、ヘビ･･･やっぱり登山は冬に限る！
そんなことを考えながら歩いていると、突然目の前に現れた壁のような岩。鎖があったので、最初の２，３枚はどうにか掴まってやり過ごしました。夫はこれを過ぎたらもう大丈夫、とか言ってたけど、また壁･･･ここ登るの？足かける所ないけど・・しかも長い。登っても登っても次々と壁が現れるのです（泣）もしかしてこれ、クライミングってやつ？？
【写真はイメージです】現場ではとても写真を撮る余裕などなく…
クライミングはまだやりたくないと思っていました。怖いし危険そうだから。でももうやってるよ･･･（泣）習った事ないけど、何かで読んだ「三点確保」だけを心掛けて登りました。（それ以外何の知識もない）が、太陽がじりじりと照りつける中、とっかかりを探すのにも疲れてしまい、今風なら「心が折れて」とでも言うのでしょう、手も足も出なくなってしまいました。登るのは恐怖だけど降りるのはもっと無理です。ついにぶち切れて大八つ当たり。
「ここで待ってるから一人で上がってきて。なんでこんなとこに連れて来たのよ！！」
夫曰く、私が岩場好きだから「健脚コース」を選んだけど、まさかこんな所とは思わなかったと。登ってしまえば別の安全な道で下山出来るとなだめられ、なんとか踏ん張って登り切りました。登らなければ救助要請以外、家に帰る手段がなかったのです。
やっと二足歩行が出来るようになって景色が見えてきました。
標高が上がったので暑さが和らぎ、お昼を食べて私の機嫌も持ち直しました(^^;
後から地図を見るとところどころに怖そうな模様があり、等高線で表記出来ない崖を意味するとか。（後から地図を見るなんて…ちゃんとした登山者の皆さまは空いた口がふさがらないことでしょう。反省） 自分で調べもせず、 現地を知らない人間にのこのこついて行った私が愚かでした。
下山の道に危険箇所はなかったものの、周りには崖が露出している山がたくさんありました。
やっぱり、木の生えているところは落ち着きます。
下山してしばらく車を走らせ、温泉に浸かりました。茨城県でただ一軒、日本秘湯を守る会の宿です。日帰り入浴可。
令和最初の山登りにふさわしい、強烈な誕生日でした（笑）
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