つくば発 山ある記

山登り初心者の雑記帳

筑波山(第1回):気になる二人との遭遇

2018年12月15日(土) 筑波山登山中の出来事です。

ロープウェーつつじが丘駅からおたつ石コースを通って、もうすぐ女体山山頂という岩場で。一人通るのがやっとの狭い急坂ですれ違いのため、私達は降りて来る人々を待っていました。

 

次々と人が降りて最後の二人になった時、私は思わず「ごゆっくり!」と声をかけずにいられませんでした。どうみても七十代後半の男性が二人、急ごしらえの木切れの杖に掴まって立ち往生しているのです。とても身なりがよく、英国紳士のような帽子にブレザー、カジュアルな革靴という装いで、ロープウェーで上がってきたのは一目瞭然でした。

 

二人とも杖や足をどこにどう置くか、考えあぐねて手も足も出せないといった感じでしたが、時間をかけて慎重に降りてこられました。

 

私は自分の事に精一杯だったので、お気をつけて、とだけ声をかけてさっさと登りましたが、後ろにいた友人が来ないので振り返ると、二人と話し込んでいました。どうやら下の駅まで歩いて降りようとしているのを必死で止めている様子。下りはそんなにきつくないと聞いて、ロープウェーの切符を片道しか買わなかったそうです。

 

誰に聞いたのかわからないけど、この二人に徒歩での下山を薦めるなんて理解できませんでした。確かに御幸ヶ原コースに比べたらきつくないけど、いかにも山道に慣れていない様子の二人にはハードル高いと思わなかったのでしょうか。

 

師匠と私も全力で説得に加わりました。先はまだ長く、歩きにくい岩場や急斜面が続くこと、下りの方が疲れるし危険、あと2時間もすると陽が傾く、元来た道をゆっくり登ってロープウェーで降りたほうが安全だから、一緒に行きましょう、と。

 

一人はその気になったようでしたが、もう一人は「体力がないから降りるしかできない」と頑なに登る事を拒み、結局説得出来ませんでした。その後どうなったのか知る術もありませんでしたが…

 

その夜、友人が気になるツイートを見つけたと言ってきたのです。午後8時半頃、筑波山ロープウェイつつじヶ丘駅にパトカーと消防車、救急車が停っているとのこと。誰かが動けなくなって救援を要請したのでしょう。あの二人とは限らないけど、今日見かけた登山者の中で一番可能性があるのは否定できません。誰であっても、午後8時半にあの標高で動けないとなると低体温症の危険があります。近くに居た下山者が連携して防寒具やエマージェンシーシートを供出し、救援が到着するまで付き添ってくれていますように。病院経由になったとしても、どうか無事に家に帰って欲しいと強く思いました。

 

そして私も、たとえ身近な低山でも救急車が来るんだ…甘くみてはいけないと、肝に銘じたのでした。

 

 

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下山もです